日別アーカイブ: 2004/07/25

日記7/24にして

さて、昨日ですが。目黒の庭園美術館に行ってまいりました。今回は初めて漫研健康老人会で行ってみようということになりまして、総勢3名という多数の参加者(笑)を集めることができ、いざ目黒。

この企画展は、1920?30年代のロシアの絵本の展覧会です。有名な作家の展覧会とかではないのでガラガラだろう…とか思ってたらあれ、チケット売り場が行列。結構人いるじゃん。

まあ行列つってもたかだか10人程度だったんですぐ入れたんですが。今日だけは特別に70年くらい前のロシアのアニメ3本の上映があるので、その会場を見に行ってみました。上映は14:00から、見に行ったのは13:40くらいだったんですが…定員250名の席がほぼ満員、そしてさらに列が(汗)。どうやら主催者側もこんなに人が集まるとは思っていなかったらしく、慌てて追加のパイプイスを持ってきました。というわけでなんとか我々は座れましたが、まだまだ後から人人人。結局会場の両脇の壁もほぼ立ち見で埋まった状態でスタート。司会進行のジイさんも泣きそうな声です(笑)。

ロシア絵本のコレクターである沼辺信一というオッサンと、ロシア映画評論家の山田和夫というジイさんの対談を挟みつつ3本の映画を見ました。またこれが全然対談じゃなくて、交替で好き勝手にしゃべるというような形(笑)。まあ、ヘタな馴れ合いの対談よりはよっぽど面白かったですが。

それによると、レーニンはとても芸術に理解のある人だったようです。まだ社会主義国家として人々が理想を追い求めていられた時だったことと相まって、1920年代はとても面白かった時代だったようです(まあその後数十年の結果は惨憺たるものでしたけど)。

1本目のアニメは「郵便」。とあるDQNガキンチョお子様がアオムシ入りの手紙をとあるオッサンに書留で出したところ、レニングラードに住んでいるそのオッサンはベルリン?ロンドン?ブラジル(何故ここだけ国名)と旅行に出やがったので郵便やさんがとても苦労して、最後レニングラードに戻ってきたところでやっと届けられましたアオムシもちゃんとつぶれずに生き残ってましたヨカッタヨカッタ、苦労している郵便やさんを皆で讃えましょうというお話(ミもフタも無い紹介)。

1929年の作品です。ちなみにセルアニメではありません、切り絵を動かすアニメーションです。今で言うと、FLASHで人を動かす際に人体をパーツ化してそれを組み合わせて、なにか操り人形のような動きをするものがありますけど、アレに近いですか。でも、動きはとてもなめらかです。さらに、国から国への移動では、レニングラードからベルリンに向かう電車がトンネルをくぐるシーンがあるんですがこれがなんかドラえもんのタイムマシンのシーンのよう。ロンドンからブラジルに向かう船は、まるでポリゴンを使ったような立体的な動きを見せました。あの二つは当時の技術で一体どうやったのかサッパリ分かりません…。ちなみに、白黒でサイレントの15分ものでした。

二本目は「バザール」(1936年)。元々40分ほどの長編になるはずだったのが、スターリンのせいで最初の4分で打ち切られてしまいました(泣)。正直何も起こらないうちに終わってしまってはいますが、バザールの中で色々な胡散臭い店の店主達が歌いながら(オペラっぽい)流れてゆく様は、絵も独特な滑稽さがあって結構見物です。これも切り絵アニメです。まだ白黒ですが、こちらはトーキーです。

三本目は「おろかな子ネズミ」。ディズニーの影響を思いっきり受けたような作品です。1940年のこの作品でようやくカラーのセルアニメになりました。カラーとは言っても赤緑の二色しか使えていませんが。これは後で説明を聞いて分かりました。単に経年劣化でくすんだ色になっていたのかと思ってたんですが、青が出ていなかったとは。

夜中になっても全然寝付かない子ネズミ。困ったお母さんは、アヒルだのブタだのカワカマスだのカエルだの色々連れてきますが誰が歌ってもこのDQN子ネズミは「声がわるいね」。困り果てたお母さん、何を血迷ったかネコを連れてきます。イイ顔して引き受けたネコおばさんですが、当然子ネズミをさらっていってしまいます。

さて、これには原作の絵本があるんですが、原作はここでお母さんが部屋に戻ったら「誰もいませんでした…」で終わり。まあ教訓話としてはこう終わらないといけませんね(「ワガママ言うなクソガキ」てな話ですな)。

ところが、このアニメ版では続きがあって、イヌの自警団みたいなのがネコの手から子ネズミを取り返してしまいます。そしてネコはやっつけられてめでたしめでたし。何の教訓にもなっていません(笑)。

しかしまあ、ロシアのセルアニメとしては当然初期のものなんでしょうけどすんげー動きがなめらか。昨今のどのTVアニメよりも動いています(笑)。15分ですけど、セル枚数はおそらく「ぴちぴちピッチ」30分ぶんよりも多いんじゃないでしょうか(笑)。

アニメ3本は足しても1時間ありませんが、オタクなオッサン二人(笑)の話が長くて(いや、面白かったけど)合わせて2時間。いや立ち見にならなくてよかった。で、解放されたあとは(メインの)絵本。今見た「郵便」と「子ネズミ」は原作本もありました。いくつかの本は復刻版が読めるようになっていて、対訳もついていました(まあそれで「子ネズミ」の本来の終わり方が分かったんですが)。

まだCMYKの4色刷りでは無かったんでしょうか、多分すべての色の版を作ってカラー印刷していたんでしょう、ベタがとても綺麗です。色はどうしても時間が経っていますのでくすんでしまっていますが、元々はもっと鮮やかだったんでしょうね。

社会主義国家ですんで、どうしても労働者賛美とか軍隊賛美とかそういう内容が多いですが、中には世界の国々の紹介とか(まあ日本とかメチャクチャですが(笑))、動物ものとか普通のストーリーものとかもあります。普段見ているような絵画の展覧会とは違って、これもこれでなかなか面白い。

それにしても。庭園美術館は2回目でしたが、やっぱり元は屋敷だっただけに見づらい…。小部屋に区切られすぎて。ブチ抜くわけにゃいかんのですかねえ(笑)。